病院とクリニックの医療費の違いを知り、上手に使い分けよう

クリニックと病院の医療費の違い

複数の診療科目と入院機能を有する「病院」や、単科専門で無床の「クリニック」など、街にはさまざまな医療機関があります。患者さん側は、ひとまとめに「病院」と呼ぶ人が多いですが、法律上は両者には明確な違いがあるのです。
看護師であれば、病床数やスタッフ数が違うというくらいは知っているでしょう。ここでは、「金額面での違い」に注目してご紹介します。

クリニックと病院の医療費の違い

病院とクリニックとでは初診料は違うの?

病院やクリニックに初めて受診するときにかかる初診料。以前は、病院よりもクリニックのほうが少々高めに設定されており両者で初診料は異なっていましたが、現在では同額に統一されています。
2020年現在では、288点です。1点が10円計算なので10割負担で2,880円。国民は何らかの医療保険に加入することが義務付けられているため、負担の割合に応じて自己負担額が異なります。
例えば、3割負担であれば860円、2割負担であれば580円が自己負担額になります。(10円未満は四捨五入)
ちなみに、歯科クリニックの場合は、261点です。また、6歳未満の乳幼児の場合は、288点に75点が加算されることが決められているため、363点となります。

加算料金が発生する場合もある

先に述べた初診料に加え、医療機関が提示している診療時間外に受診した場合は割増料金が加算されます。
加算されるケースは、「時間外加算」「夜間・早朝等加算」「休日加算」「深夜加算」の4つです。ちなみに、夜間・早朝加算はクリニックのみ適用されます。
いつ行けばどこの加算に適用されるかは、以下の例のとおりです。

例)診療時間が平日9時~12時、14時~20時/土曜日が9時~15時/日祝は休診日のクリニックの場合
【平日受診の場合】
6時~9時、12時~14時、20時~22時が時間外加算
18時~20時が夜間・早朝等加算
22時~翌6時が深夜加算

【土曜日受診の場合】
6時~9時、15時~22時が時間外加算
12時~15時が夜間・早朝等加算
22時~翌6時が深夜加算
【休日受診の場合】
6時~22時が休日加算
22時~翌6時が深夜加算

加算される点数は、時間外加算+85点、夜間・早朝等加算+50点、休日加算+250点、深夜加算+480点です。
ちなみに、6歳未満の乳幼児の場合は、時間外加算+200点、夜間・早朝等加算+50点、休日加算+365点、深夜加算+695点となります。

再診料はどう違う?

初めて医療機関を受診したときに発生する初診料に対し、初診時と同じ病院に同じ病気やケガ等で継続して受診する際に発生する基本診療料を「再診料」といいます。
200床以上のベッド数を有する医療機関の場合は、再診料ではなく「外来診療料」といい、点数も異なります。
クリニックや200床未満の医療機関の再診料は73点、200床以上の医療機関であれば74点です。乳幼児の場合はさらに38点が加算されます。
また、時間外加算は6歳以上65点/6歳未満135点、夜間・早朝等加算は年齢問わず50点、休日加算は6歳以上190点/6歳未満260点、深夜加算は6歳以上420点/6歳未満590点です。
ちなみに、1日でいくつもの科目を受診する場合には、再診料に37点が加算されます。また、再診時には「外来管理加算」の52点が追加されるため、再診料と外来管理加算の合計が実質的な再診料といえます。
この外来管理加算は、クリニックとベッド数200床未満の医療機関のみの適用です。ベッド数200床以上の医療機関では適用されず、74点のみの再診料で済みます。

診察料の違いは?

これまでにご紹介した初診料や再診料は、疾患の種類問わず点数が決まっている基本診療料です。しかし、疾患の種類が異なれば治療ももちろん異なるもの。疾患に応じて発生するオプション部分のことを、指導管理料といいます。
指導管理料とは、薬の飲み方への指導や食事面でのアドバイス、運動の指導などを行ったときに発生する医師の技術料のようなものです。
疾患の種類によって治療方法は異なるため、指導管理料は細かく決められています。
指導管理料の中で代表的なものの1つが「特定疾患療養管理料」です。特定疾患には、癌や糖尿病、心筋梗塞、高脂血症、結核、胃・十二指腸潰瘍などが該当します。
病床数に応じて点数は異なり、クリニックは225点、100床未満の医療機関は147点、100床以上200床未満は87点、200床以上の病院であればこの料金は加算されません。
指導管理料は、月に2回を限度に算定されます。そのため、同月内で2回以上通院し指導を受けても点数は2回分までしか発生しません。
そのほか、生活習慣病管理料や糖尿病合併症管理料、外来栄養食事指導料、難病外来指導料など、このほかにもさまざまな指導管理料の項目が細かく設定されています。

施設基準や病床数で特別料金の発生も!?

国は、クリニックと病院、それぞれの機能を活かした分担制度を推進しています。
初期で比較的軽い症状の場合は地域のクリニック(かかりつけ医)を受診する、専門的・高度な治療を必要とする場合は病院を受診するという役割分担を実現するために、厚生労働省が制定した制度のことを「選定療養費」といいます。
先の述べたとおり、大きい病院であれば外来管理加算や指導管理料が発生しないため、大きい病院のほうが医療費を安くおさえられます。
軽症の患者が大きい病院に集中してしまえば、重症患者への治療が遅れる可能性があります。選定療養費は、そのような事態を防ぐためのものです。
大きい病院を受診する際に紹介状(診療情報提供書)を持参していなければ、初診時に5,000円以上、再診時に2,500円以上の選定療養費を請求できると、2016年4月から義務付けられています。
選定療養費を請求できるのが、大学病院などの特定機能病院や、400床以上の許可病床数を有する地域医療支援病院などです。
また、病床数200床以上を有し地方厚生局に届け出た病院についても、選定療養費を請求できるように定められています。

病院とクリニックの理想的な使い分け

病院とクリニックは、どちらも同じ医療機関の中に含まれますが、先述したとおりそれぞれで役割が異なります。

【病院について】
20床以上の病床数と複数の診療科目を有する医療機関が病院に該当します。一口に病院と言っても、国立病院や公立・公的・社保関係の法人病院、大学病院、一般病院などの種類があります。
機能の違いであれば、厚生労働省により承認されている研修可能な特定機能病院、都道府県知事により承認されている地域医療支援病院、この2つ以外のその他の一般病院の3つに分類されます。
高度な医療を提供している、幅広い症例に対応している、急遽手術になっても安心できるという点から、短期間での悪化が懸念されるような急性期の疾患やケガについての受診は、病院が対象でしょう。
症状が落ち着けば、クリニックでの経過観察を勧められます。

【クリニックについて】
19床以下の病床数を有する医療機関がクリニックに該当します。診療所や医院とも呼ばれ、軽い症状の病気やケガの場合の受診はクリニックが対象でしょう。
そのほか、病院では医師や看護師、薬剤師といった医療従事者を最低人数配置する決まりがあるものの、クリニックには医師1名ということ以外配置の決まりはないという違いもあります。

軽症であればクリニック、高度な医療を要するような重症の場合は病院というように、自身または家族が病気やケガをした際に症状に合った医療機関を受診することが大切でしょう。
大きい病院が安心だからという理由で受診してしまうと、医療費の負担額が大きくなる、待ち時間が増加するといったデメリットが生じてしまいます。
病院側にとっても、緊急度の高い急性期疾患の患者への治療が遅れる、またはできなくなるといった可能性も。
理想は、かかりつけ医(クリニック)を持つことです。病気やケガの際、まずはかかりつけ医を受診し、必要に応じて適切な病院への受診を促されます。
かかりつけ医で紹介状も出されるため、病院での医療費の負担も少なく済みます。適切な医療機関で適切な治療を受けるためにも、医療機関の特徴や役割の違いを知ることから始めると良いでしょう。

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